子どもの副鼻腔炎(蓄膿症)について
顔の皮下には、副鼻腔という空洞があり、細い管で鼻とつながっています。この空洞は顔の左右に4つずつ、合計8つあり、おでこ、目と鼻の間、小鼻の両脇などに薄く広がっています。
発症して1か月以内に症状が消失するものを急性副鼻腔炎とし、感染が主な原因と考えられます。
3か月以上症状が持続するものは慢性副鼻腔炎(蓄膿症)と呼ばれます。副鼻腔粘膜や鼻腔の一部に、治癒しにくい形態的・機能的な障害を生じていることあ多く、鼻茸を認める例も多いです。再感染により急性増悪することがあるので、注意が必要です。
主な症状は、鼻詰まりや黄色く粘度の高い鼻水(膿性鼻汁)、顔や頭の痛みなどですが、炎症が気管支に影響し咳が続くこともあります。
また慢性副鼻腔炎では、強い鼻詰まりが続くことで集中力の低下や運動への支障、睡眠の質の低下などを起こしやすく、学習やスポーツにも悪影響を及ぼします。
疑わしい症状がある場合には早めに受診し、治療しましょう。
副鼻腔炎の主な症状
鼻詰まり、粘度が高く黄色い鼻水、鼻の両脇やおでこ、目の下などを押すと痛みがある、頭痛などを起こします。鼻水がのどの方に流れてしまう後鼻漏は不快感が強く、咳や痰、激しいいびきなどを生じることもあります。
診断と治療
症状が現れた時期と経過などを問診で伺います。副鼻腔炎が疑われる場合は、鼻腔粘膜の培養検査やアレルギー検査を行った上で診断し、治療方針を相談しながら決めていきます。
急性副鼻腔炎の場合は自然治癒が期待できるケースも多いですが、症状や状態、経過を観察した上で抗生物質による治療が必要と判断される場合もあります。また、強い鼻詰まりがある場合には、ネブライザーによる吸入や点鼻薬などによる治療を行う場合があります。
子どもの副鼻腔炎はどのくらいで治る?
副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)は、鼻の奥にある副鼻腔に炎症が起き、膿がたまる病気です。新生児から4~6歳ころまでは副鼻腔が未発達のため、副鼻腔炎になることがないと言われますが、鼻水・鼻づまり・咳が長引いているお子さま達に副鼻腔炎や中耳炎の治療(抗生物質の内服)を行なうとすっきりと改善することが少なくありません。
同時に、鼻水がたまらないように、しっかりと外に出す鼻かみや鼻吸引がとても大切です。鼻かみがまだのお子さまには、ティッシュを鼻息で吹き飛ばすなど遊びながら練習をしつつ、電動鼻吸いを活用することは治癒を早めることにつながります。クリニックでは、ご家庭用と同じ丸いオリーブ状の先端のほかに、柔らかい素材の細いチューブがあります。鼻の奥の方の鼻水に対してはチューブを用いてしっかりと吸引することができますので、ご相談ください。
急性副鼻腔炎
かぜに伴って発症し、4週間以内のものを「急性副鼻腔炎」とし、通常 2〜3週間程度で改善します。抗菌薬や鼻の炎症を抑える治療を行うと、多くは数日〜1週間で症状が軽快し、徐々に治っていきます。
慢性副鼻腔炎
炎症が長引いて 3か月以上症状が続く場合は「慢性副鼻腔炎」と呼ばれます。子どもではアデノイド(鼻の奥のリンパ組織)が大きいことや、鼻の構造が未発達なことも影響し、慢性化しやすい傾向があります。治療には時間がかかり、数か月単位での通院が必要になることもあります。
治る目安のまとめ
- 軽症(急性副鼻腔炎):2〜3週間ほどで改善
- 重症または慢性化:数か月以上かかることもある
受診をおすすめするサイン
- 黄色や緑色の鼻水、どろどろした膿状の鼻水が2週間以上続く
- 夜間や朝方に強い咳が続く
- 鼻づまりで口呼吸やいびきが目立つ
- 元気がなく、頭痛や顔の痛みを訴える
- 微熱が続いている
- 鼻水が多く、耳をよく触って気にしている、または痛がる
副鼻腔炎は「自然に治ることもある」一方で、慢性化すると長期の治療が必要になることがあります。長引く鼻水や咳でお困りの際は、当院までお気軽にご相談ください。
副鼻腔炎に関するよくある質問
子どもがうまく鼻をかめず困っています。どうしたらいいですか?
鼻をかむのにはコツがあり、幼い子どもはうまくできないことが多いです。鼻をかむことを教える前に、鼻をすするのをやめさせることが有効です。
鼻をかむ指導は、両方を一気にかむのではないことをまずは教えてあげましょう。鼻をかむ手順としては、口を閉じ、片方の小鼻を指で押さえて塞ぎ、反対側の鼻から息を吹き出します。この方法であれば優しく息を吹き出しても鼻をかむことができます。強く息を吹き出してしまうと耳管を通じて中耳にも影響しますので、優しくかむよう指導してあげてください。
なお、乳幼児など、自分では鼻をかめない赤ちゃんの場合には、市販の電導器具(鼻吸い器)を使用して吸引します。昔はお母さんが口で吸い出すといった方法も行われていましたが、感染リスクがありますので行わないでください。
副鼻腔炎の治療はどんな内容ですか?
ネブライザーによる鼻腔の洗浄と鼻水の吸引で不快な鼻詰まりを解消します。状態に合わせて点鼻薬による治療や抗生物質による治療が行われる場合もあります。

